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用語集・ガイド

Insider Dataで提供するデータを正しく理解し、投資判断に活用するための基礎知識を解説します。

インサイダー取引とは

「インサイダー取引」とは、企業の役員、取締役、大株主(10%以上保有者)が自社の株式を売買することを指します。 日本では「違法」というイメージが強いですが、米国では適切な手続きを踏めば合法かつ日常的に行われています。

「インサイダー」とは誰か?

役員 (Officers)

CEO, CFO, COO など経営幹部

取締役 (Directors)

取締役会のメンバー

大株主 (10% Owners)

発行済株式の10%以上を保有

合法なインサイダー取引

  • Form 4で2営業日以内に報告した売買
  • 重要な非公開情報に基づかない取引
  • 10b5-1プランに基づく計画的な自動売買

違法なインサイダー取引

  • 未公開の決算情報やM&A情報を利用した取引
  • 報告義務の違反・虚偽報告
  • 第三者への情報漏洩(ティッピング)

Form 4 とは

Form 4は、企業インサイダーが自社株を売買した際に、2営業日以内にSEC(米国証券取引委員会)に提出が義務付けられている報告書です。 Insider Dataのインサイダー取引データは、このForm 4が情報源です。

Form 4 に記載される情報

1

報告者情報

氏名、役職、会社との関係

2

取引日

いつ売買が行われたか

3

取引種類

購入(P)、売却(S)、オプション行使(A)など

4

取引価格・株数

1株あたりの価格と取引株数

5

取引後の保有株数

売買後に何株持っているか

6

10b5-1フラグ

計画的取引かどうかの表示

10b5-1 プラン

Rule 10b5-1は、企業インサイダーが「計画的な自動売買」を行うための法的フレームワークです。 事前に売買計画を設定しておくことで、インサイダー取引の疑いを回避できます。

なぜ10b5-1取引を除外するのか?

Insider Dataでは、10b5-1プランに基づく取引をデフォルトで除外しています。

計画が古い

数ヶ月〜数年前の判断であり、現在の市況を反映していない

個人的事情

税金対策や子供の学費など、会社の業績とは無関係

シグナルの純度

「本気の売買」だけを抽出するため

政治家トレード

米国の連邦議会議員(上院・下院)は、STOCK Act(2012年)により、 株式取引を45日以内に公開することが義務付けられています。

なぜ政治家の取引が注目されるのか?

  • 1

    情報優位性法案審議、規制動向、国防契約など、市場に影響を与える情報にいち早くアクセスできる立場にある

  • 2

    高い運用成績複数の研究で、議員の株式ポートフォリオが市場平均を上回るパフォーマンスを示すことが報告されている

  • 3

    ナンシー・ペロシ効果元下院議長ナンシー・ペロシ氏の取引が話題となり、「ペロシ・トラッカー」が人気に

注意事項

政治家の取引は報告の遅延(最大45日)があるため、リアルタイム性では企業インサイダー取引に劣ります。 また、配偶者や家族名義の取引も含まれます。

13F(ヘッジファンド)

Form 13Fは、運用資産1億ドル以上の機関投資家が四半期ごとにSECに提出する保有銘柄報告書です。 ウォーレン・バフェット、レイ・ダリオなど著名投資家のポートフォリオを確認できます。

13Fで分かること

保有銘柄リスト

どの銘柄を何株持っているか

新規購入・売却

前四半期からの変化

ポジションサイズ

ファンド内での比率

約45日の遅延

四半期末から45日後に公開

シグナル

Insider Dataの「シグナル」機能は、複数の指標を組み合わせて、注目すべき銘柄を自動的にスコアリング・ランキングします。

シグナルの構成要素

インサイダー取引スコア

直近のインサイダー購入・売却の量と質。CEOの大量購入は高スコア。

政治家トレードスコア

議員による最近の売買。特に委員会メンバーの取引に注目。

機関投資家スコア

ヘッジファンドの新規購入・ポジション拡大。複数ファンドの同時購入は高スコア。

基本用語

SEC

Securities and Exchange Commission

米国証券取引委員会。証券市場の規制・監督を行う連邦政府機関。

EDGAR

Electronic Data Gathering, Analysis, and Retrieval

SECが運営する電子開示システム。Form 4、13F等の公開データベース。

Ticker

Ticker Symbol

銘柄コード。例:AAPL(Apple)、TSLA(Tesla)、NVDA(NVIDIA)

Open Market

Open Market Transaction

公開市場での通常の売買。最も注目すべき取引タイプ。

Exercise

Option Exercise

ストックオプションの権利行使。付与されたオプションを株式に転換すること。

Grant

Stock Grant

株式報酬の付与。役員報酬として付与される株式。

Cluster Buy

Cluster Buying

複数のインサイダーが同時期に購入すること。強い買いシグナル。

Filing Date

Filing Date

報告書の提出日。取引日から最大2営業日後。

Transaction Date

Transaction Date

実際に取引が行われた日。

データの使い方

インサイダー取引データの活用ポイント

1

購入 > 売却 に注目

売却は様々な理由がありますが、購入は「株価が上がると思っている」という明確なシグナルです。

2

CEO・CFOの取引に注目

経営トップは会社の状況を最もよく理解しています。特に大量購入は強いシグナル。

3

クラスター買いを探す

複数のインサイダーが同時期に購入している場合、会社全体で株価上昇を期待している可能性。

4

10b5-1を除外する

計画的な自動売買を除外することで、「本気の売買」だけを見ることができます。

投資は自己責任で

インサイダー取引データは投資判断の一つの参考材料です。 インサイダーが常に正しいわけではありません。必ずご自身で調査・判断してください。

よくある質問

Q: インサイダー取引は違法ではないですか?
A:企業幹部が自社株を売買すること自体は合法です。違法なのは「未公開の重要情報」を利用して取引することです。Insider Dataが提供するデータは、全て法的に公開が義務付けられた情報です。
Q: 日本から米国のインサイダー情報を見ることに問題はありませんか?
A:全く問題ありません。SEC EDGARは世界中に公開されているデータベースで、誰でもアクセス可能です。Insider Dataはこの公開データを日本語に翻訳・整理してお届けしています。
Q: CEOが株を売っていたら、その会社の株は売るべきですか?
A:一概には言えません。10b5-1プランによる計画的売却、税金対策、資産分散など、様々な理由があります。売却だけを見るのではなく、10b5-1かどうか、売却比率、過去のパターンなども考慮してください。
Q: データはどのくらいの頻度で更新されますか?
A:インサイダー取引データは毎日更新されます。Form 4は取引から2営業日以内に提出されるため、ほぼリアルタイムに近い情報をお届けできます。政治家トレードは最大45日の遅延があります。13Fは四半期ごとの更新です。
Q: 無料プランと有料プランの違いは?
A:現在はベータ版として全機能を無料で提供しています。将来的には、高度なフィルタリング、アラート機能、APIアクセスなどが有料プランで提供される予定です。
Q: 過去のデータはどこまで遡れますか?
A:インサイダー取引データは過去数年分を保持しています。履歴データを使って、特定のインサイダーの過去の取引パターンや成績を分析できます。

データを見てみる

CEOや役員がいつ、いくらで自社株を買っているか確認しましょう